オフィスの意義とは? ニューノーマルな働き方に合ったオフィス選び
■「どこでも仕事できる」世の中
長らくの緊急事態宣言下で、リモートワークが浸透した企業も多いのではないでしょうか。
これまでは「生産性向上」や「ワーク・ライフ・バランス」などがテーマの中心だったテレワーク・リモートワーク。コロナ禍では多くの企業で「リモートで仕事ができる・業務がまわる」ための環境整備が進み、「BCP対策」や「リスク分散」の点でも評価されました。
■オフィスは今後も不要なのか?
リモートワークをやってみて実際「できてしまった」企業を中心に、2021年「オフィス不要論」支持の声も上がりました。働く場所や時間に左右されなかったり、専門的・スペシャリスト寄りである、個人で完結する場合はリモートワークが適しているケースがあります。リモートワーク前提の「ジョブ型雇用」の導入を始めている企業もあります。
ではリモートワークが浸透していそうな、海外のテック企業はどうでしょうか。
Googleは9月まではオフィス出社を義務付けはせず、9月以降もチームや仕事内容に応じてリモートとのハイブリット型の勤務を導入すると報じられています。一方、Appleの最高経営責任者Tim Cook氏は、6月2日、9月から週3日のオフィス勤務を従業員に要請すると発信し波紋を呼びました。結局の所、柔軟な対応に落ち着いたようですが、Tim Cook氏の発言はオフィスでの勤務を重要視している事が分かりました。
「我々が離れ離れになりながらも達成してきたことはあるが、実はこの1年間には重要なものが欠けていた」
「ビデオ会議が我々の距離を縮めたことは間違いないが、ビデオ通話では再現できないものもある」
その言葉の意図は何なのか? 注目が集まりました。
参考:グーグル、4月から米国でオフィス勤務を一部再開 - 秋にハイブリッド型へ(2021年4月2日 | CNET Japan)
参考:アップルCEO、9月から週3日出社を要請…「ビデオ会議では再現できない」(2021年6月7日 | BUSINESS INSIDER)
■「個」で仕事が完結しない日本の中小企業
「個」で完結する仕事であれば、時間や場所にとらわれないリモートワークのほうが、職員の満足度も高く、オフィスの固定費・通勤コストを削減できる等のメリットがあると考えられます。大企業のように完全に役割分担ができている場合も同様です。
しかし、日本企業の約99%は中小企業であり、1人の職員が2つの役割をこなしている事も多く、環境整備が進んでいないため、リモートワークができない・不向きであるケースが多いのではないでしょうか。
東京商工リサーチによる調査では、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために在宅勤務・リモートワーク実施ついて、新型コロナ以降一度も実施していないと答えた企業が約44%(4740社/10828社中)という結果で、資本金1億円未満の企業について「実施したが現在はやめた」と「一度も実施していない」を合わせると約67%(6173社/9191社中)にも上りました。
参考:東京商工リサーチ 第16回「新型コロナウイルスに関するアンケート」(2021年6月21日発表)
■オフィスでしかできないこと・オフィスの価値とは?
国土交通省が2020年9月に発表した企業調査では「テレワークによる仕事への影響」について「新規顧客との関係性構築やイノベーションの創出、新入社員の教育等は対面に価値があると認識されている」と報じられました。
「オフィスでしかできない事」とは、たとえばどのような事でしょうか?
・若手の育成
営業の指導の例→いつ顧客から何があってどう対応したのか、など、結果や報告書だけ見ては分からないことがある。過程や実際の対顧客営業を教える事は、リモートでは細かいフォローや気づきがおろそかになる。
・新製品の開発
製品を見て触ってなど五感が必要な製品開発は、リモートでは難しい。食品・アパレル・衛生・美容など、製造業ほぼ全般にあてはまる。
・現場経験の蓄積
見て教わる、同僚や先輩の動作を真似る、実物に触れて覚える、などの経験ができない。
・採用活動
よい立地・よいオフィスであることが、採用活動に有利に働く。一緒にここで働きたいと思ってもらえる事が重要。また、採用・人事の面接など、人対人の重要な場面では、自社オフィスの応接室が適している。
・商談
顧客と対面での商談は、信頼度が上がり、リモート商談よりも受注確度が高くなる。
・電話連絡
「リモートワークで電話がつながりにくい」。これまで事務所出勤だった人がリモートになり「不在」で担当者連絡に支障が出ることがある。固定電話は依然として「会社の窓口」であった。
別の角度から(現実的な視点で)見てみると、組織が未熟で管理も人事評価の仕組みも整備途上な中小企業では、オフィスが、「仕事をさせる場所」として必要とされているのも現実です。
参考:国土交通省 企業ヒアリング調査・文献等調査(2020年9月)
■コロナ後のニューノーマルな働き方とは? "集まること"に重きを置いたオフィスが増えている
今一度、オフィスは何のためにあるのか? という問いに向き合ってみます。ひとつの答えとして、オフィスが「社員間のコミュニケーションの場として重要」という視点がコロナ以前からありました。たとえば、オフィス内にカフェスペースやコミュニケーションスペースを作り、気軽に雑談ができる場にする。そんな人の働き方を想定したオフィスもコロナ以前から登場し、注目を集めています。
コロナ禍で長期のリモートワークを実施した企業様の中には、職員同士のコミュニケーションが希薄になってしまった、新人の顔を知らない・先輩の事を知らない・会った事もない、などコミュニケーションに課題を抱える企業様も多いのではないでしょうか。
社員間のコミュニケーションやコラボレーションを促すために、定期的にオフィスに通勤させるハイブリッド型のワークスタイルが、今後増えると予想されます。
“集まる”事を重要視したオフィス事例
ひとの輪ができる、まちと繋がるオフィス
三菱地所の賃貸オフィスビル「CIRCLES」シリーズ
公式サイト:https://mec-circles.com
テレワークやサテライトオフィス、コワーキングスペースの普及等、固定の場所や時間に縛られない働き方が普及する時代だからこそ、“集まって働くこと”の生産性や快適性向上をサポートする空間を充実させたオフィスシリーズ(同社リリースより)。
関電不動産八重洲ビル(2022年5月竣工予定)
最新の空室状況は【 こちら 】
専有部にオフィスキッチン&インナーテラステラスが2箇所設置された貸室や、開放的なルーフテラスなど、気軽に集える工夫が詰まったオフィスビル。
■まとめ
同じ時間・同じ場所で一斉に働く「日本型の雇用習慣」はすでに絶対的なものでは無くなっています。
もしも「リモートワークが進まない」のであれば、それは日本型の雇用習慣が原因なのではなく、オフィスという場所が依然として必要とされているのではないでしょうか。
オフィスの使い方は企業それぞれですが、働く場所としてのオフィスの価値とは、働きやすい空間、対面で人とかかわる機会、そしてチームとしてのパフォーマンスを最大限引き出すことではないでしょうか。
同じ時間に皆が集まる事は、情報共有の点で効率が良く、知識の共有・偶然のイノベーションを促進する効果もあります。
「人を集めておくためのオフィス」から「人が自然と集まるオフィス」へ。
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