木造オフィスビル特集

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都内著名オフィスビルの建て替えで木材を使用したオフィスビルが計画されるなど、木造オフィス・木質オフィスへの注目度が高まっています。

オフィスビルには高い水準の耐震性能や耐火性能が求められますが、近年の技術面の向上や法改正の後押しもあり、木材を使用したビルにおいても、鉄骨造やRC造と変わらない強度・耐火性能の確保が可能になりました。

SDGsやESGの観点からも、環境や人にやさしい木材への注目度は高まっており、建設時のCO2排出削減も求められる中、木造の採用は今後も有力な選択肢になっていくと考えられています。

東京都内等にて計画・建設中・竣工済の、木材を使用したオフィスビルをご紹介します。

計画中・建設中

1.東京海上日動ビル本館・新館の建て替え

丸の内の東京海上日動ビル本館・新館の一体建て替えで誕生する新・本店ビルは、国産木材をふんだんに使い、木の使用量が世界最大規模となる高さ100mの「木の本店ビル」となると発表された。

ビルを支える柱に多くの木材を使用するとともに、床の構造材にCLT(直交集成板)を使用。「丸の内」の街並みに調和した気品のある佇まいのオフィスビルになる模様。

所在地:東京都千代田区丸の内1丁目6番1
竣工:2028年度(予定)
規模:地上20階・地下3階・高さ約100m
構造:S造/木造/SRC造
資料


2.三井不動産と竹中工務店により日本橋にて進められている木造賃貸オフィスビル

主要な構造部材に、竹中工務店が開発した「燃エンウッド」と呼ばれる耐火集成材など、最先端の耐火・木造技術が導入される予定。木材は三井不動産グループが保有する森林のものをはじめ、国産が積極的に使用される。

建築時のCO2排出量についても、同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して約20%の削減効果が想定されている。

開発名:日本橋本町一丁目3番計画
(仮称)所在地:東京都中央区日本橋本町一丁目3番地
竣工:2025年予定→2026年7月(予定)
規模:地上17階→地上18階・地下1階
延床面積:約27,826m2
構造:ハイブリッド木造
オフィス基準階面積:約300坪(変更可能性有)
資料


3.京橋第一生命ビルの建て替え

京橋第一生命ビルの跡地に木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビルが誕生予定。
主要な構造材に清水建設が開発した「シミズハイウッド」を使用、木材と鉄骨、コンクリートを組み合わせた技術で、耐震・耐火・施工性だけでなくデザイン性と経済性にも優れたものとなる予定。

多摩産材を含む国産木材も利用。さらに、建設時のCO2排出量も、同規模の鉄骨造の賃貸オフィスビルと比べ、20%以上の削減を目指し、工事電力も再生可能エネルギーで賄われる予定となっている。

所在地:東京都中央区京橋二丁目4-12
竣工:2025年6月
規模:地上12階・地下2階・高さ約56m、延床面積16,000m2
構造:木造ハイブリッド構造(木造+鉄骨造)
資料

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4.(仮称)宇田川町42計画

2024年2月13日、東急建設は自社による新築オフィス・店舗ビルの開発計画への着手を発表。賃貸不動産ブランド「TQ(ティーキュー)」シリーズとして、1階は店舗、2階から4階はオフィスからなる賃貸ビルとなる予定。一部の構造材等に木材を採用し、美観向上や木材由来の癒し効果(フィトンチッド)による高品質な空間提供をめざす。さらに、森林資源活用としてゼネコン初となる自社開発計画でのSGEC/PEFCプロジェクト認証取得(森林認証を受けた森林から供給される木材の採用)を予定。省エネ・ウェルネス・木材活用の3つの面から、環境や快適性を意識した建築事業が進められる模様。

所在地:東京都渋谷区宇田川町42番
竣工:2025年春(予定)
規模:地上4階・延床面積1,277.28m2(386.37坪)
構造:鉄筋コンクリート造+木造 陸屋根
参考:東急建設ニュースリリース


5.中央日本土地建物「REVZO」シリーズの木造化・木質化オフィスビル

2024年2月5日、中央日本土地建物は中規模オフィスビル「REVZO」シリーズ第5弾として、木造化・木質化オフィスビルの開発計画を発表。建設地は内幸町駅からほど近い、西新橋一丁目。地上10階建て、延床面積約2600m2、基準階貸室面積は約67.51坪。国産木材を構造材、仕上材に使用し、木の柔らかさや温かみが感じられるオフィス空間となる模様。2026年3月の竣工が予定されている。

所在地:東京都港区西新橋一丁目16-5(地番)
竣工:2026年3月(予定)
規模:地上10階・延床面積2,623.35m2(約793.56坪)
構造:鉄骨造・木造
参考:中央日本土地建物ニュースリリース


竣工済

1.野村不動産溜池山王ビル

建て替えにて誕生しら新・野村不動産溜池山王ビルは、地上9階・地下1階建ての木造ハイブリッド型オフィスビル。

清水建設のハイブリッド木質構法「シミズハイウッド」を活用し、鉄骨造と合理的に組み合わせることで、耐震性能・耐火性能を確保しつつ、ワンフロア約162坪の無柱空間を実現。

外観デザインは、木質耐火構造部材による木格子ファサード。オフィス内天井も木質化され、木の素材感が身近に感じられるオフィス。

所在地:東京都港区赤坂1丁目1-14
竣工:2023年10月
規模:地上9階・地下1階・最高高さ41.56m
構造:鉄骨造一部木造

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2.Sreed EBISU +t

恵比寿駅より徒歩2分、駒沢通りに面したワンフロア17.56坪のスモールオフィス。
鉄骨と木を組み合わせた鉄骨造の柱梁フレームの中に、木造の耐震方杖架構を挿入。壁面から天井にかけて連続的に形成された方杖架構によって、まるで木材に包まれたような内部空間となっている。

また、全フロアにテラスが設置されているほか、6階と屋上には共用テラスも設置されており入居テナント同士の交流空間としても機能。

所在地:東京都渋谷区恵比寿西1丁目21-5
竣工:2023年1月
規模:地上9階・最高高さ約34.35m
構造:S造(一部木造)

資料


3.H1O青山


野村不動産のサービス・レンタルオフィス「H1O(エイチワンオー)」が外苑西通り沿いに誕生。
「木造ハイブリッド構造」を採用。建築時のCO2排出量の削減と、木材が成長段階で吸収するCO2の固定を実現。
エントランス前などには植栽・グリーンウォールなど、自然由来の心地よさを感じられる「バイオフィリックデザイン」を採用。
オフィスは全室窓付、2階には共用ラウンジ、屋上にはテラスが設置されており、開放的なオフィス空間が実現されている。

所在地:東京都渋谷区神宮前3丁目1-30
竣工:2022年8月
規模:地上7階建
構造:鉄骨造一部木造


4.コエル渋谷

にぎわいの中心地渋谷に、木の温かみが感じられるテナントビルが誕生。
木鋼組子(モッコウクミコ)と呼ばれる、ラティス状の木・鉄骨のハイブリッド耐震システムを国内初採用。ファサード2面に使用されている。エントランスホールには一部天然木が使用され、耐震性のみならず木材のぬくもりを内外から感じられるビルとなっている。

オフィスは約29.5坪、天井高3210mmの開放感あるオフィス空間。フロアによっては内装工事済みのオフィスフロアもあり、成長企業にもおすすめのオフィス。

所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目20-3
竣工:2022年6月
規模:地上13階建て・最高高さ約45m
構造:鉄骨造、一部木造

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5.KITOKI


「KITOKI」はSRC造と木造のハイブリッド構造。建物全体を支えるSRC造のメガストラクチャーという構造物の内側に、木造建築が組み合わさり、耐久性と軽やさが実現された建築。

内部は、木造フロアとSRC造のフロアが混在。自然とのつながりを重視した「バイオフィリックデザイン」が導入されている。

低層部の型枠に使用した木材を、廃棄物とせず、アートピースやベンチなどの一部として転用するという、循環型社会への貢献をめざした取り組みなども高く評価されたオフィスプロジェクト。

所在地:東京都中央区日本橋兜町8番5号
竣工:2022年4月
規模:地上10階・最高高さ約34.5m
構造:木造+SRC造

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6.HULIC &New GINZA 8


銀座中央通りに面した、木造ハイブリッド商業賃貸オフィスビル。
CLT(直交集成板)や集成材を用いた制振壁や防振柱など、さまざまな木造木質技術を用い、12層もの木造架構を耐火集成材の柱・梁で実現。
貸室は、耐火集成材の柱・梁、CLTの天井が現しとなっており、木の温かさを生かした内装が実現されている。
また、建物の木材使用量と同等の12,000本の植林活動が実施され、使うだけではなく植える、森林サイクルにも貢献。

所在地:東京都中央区銀座8丁目9-7
竣工:2021年10月
規模:地上12階・地下1階・最高高さ51.295m
構造:耐火木造+S造

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7.VORT秋葉原Ⅴ(旧:PARK WOOD office iwamotocho)

国内で初めて、CLTを構造材として採用した8階建て事務所。
木材のぬくもりが感じられる洗練されたデザインの約30坪の小規模オフィス。
木材利用促進のため外装には木ルーバーが使用されている。

所在地:東京都千代田区岩本町3丁目8-11
竣工:2020年3月
規模:地上8階建て・最高高さ25.96m
構造:鉄骨造、木造(床CLT)

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8.木材会館

東京木材問屋協同組合100周年記念事業の目玉として、木材流通の中心地である新木場に建設されたオフィスビル。

3階から5階が、開放的なヒノキのテラスを持った約211坪のオフィス空間となっている。
7階には、ヒノキ材で組み上げられたホール、6階には小ホール・会議室も設けられている。
館内はヒノキやスギをはじめさまざまな木材が各所に使用されている。地下にある受水槽はヒノキ製。

所在地:東京都江東区新木場1丁目18-8
竣工:2009年7月
規模:地上7階・地下1階・最高高さ35.73m
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、一部木造

<フロア構成>
7F ヒノキ材で組み上げられたホール
6F 多目的小ホール、オープンな会議室
3-5F オフィス

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番外編  Port Plus (横浜市)


「Port Plus」は大林組による日本初の、主要構造部(柱・梁・床・壁)すべてが木造である高層純木造耐火建築物です。

3時間耐火を実現した構造材「オメガウッド(耐火)」や、鉄骨造やRC造と変わらない強度・剛性を確保する接合法「十字形の剛接合仕口ユニット」など、大林組の独自技術が採用されています。
「Port Plus」は、大林組の自社研修施設として活用されています。

所在地:神奈川県横浜市中区
竣工:2022年3月
規模:地上11階・地下1階建て・高さ44m
延べ面積:3,502.87m2

建物WEBサイト:Port Plus ( https://www.oyproject.com




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