多目的トイレ

多目的トイレとは、多機能トイレ、だれでもトイレ、身体障碍者用トイレとも呼ばれ、バリアフリー対応のトイレ。

建物へのバリアフリー対応トイレ設置の流れは、1994年に施行された「ハートビル法」において、特定建築物に対すして車いす使用者が使用可能な便房設置の努力義務が打ち出されたことがきっかけ。2003年の同法改正で特定建築物の範囲拡大により事務所(オフィスビル)も追加され、さらに整備の義務化が盛り込まれた(改正ハートビル法)。

2006年6月には、ハートビル法と交通バリアフリー法を統合・拡充した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)が公布され、建物に1つ以上(義務)、各階に原則2%以上(望ましいレベルとされる、建築物移動等円滑化誘導基準)という基準も設けられた。また、人工肛門・人工膀胱保有者の方が利用できるオストメイト対応設備の設置も追加されている。

このバリアフリー法は、2005年にとりまとめられた「ユニバーサルデザイン政策大綱」における、すべての人が暮らしやすい社会の実現をめざす、ユニバーサルデザインの考え方をもとに制定されたものである。

ハートビル法での「車いす専用トイレ」は、不法占拠や犯罪リスクなど管理面での問題を指摘する声もあったが、バリアフリー法では「多目的トイレ」「多機能トイレ」「だれでもトイレ」とし利用率を高めることで管理上の課題解決にもつながり、普及や活用が広がっている。

2018年5月のバリアフリー法の改正では、車両の優先席・車椅子用駐車施設・障害者用トイレなどの、ハードの適切な利用の推進として「心のバリアフリー」の考え方の普及推進が盛り込まれた。

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ビル・設備編