オフィスビルの環境性能に注目。サステナビリティの視点でのオフィス選びとは。

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SDGsESGなど、持続可能な社会に向けた環境活動や取り組みが企業に浸透しつつあります。

実はCO2排出量の多いオフィスビル。CO2排出量に占める比率が高いオフィスビルのCO2削減・脱炭素化が求められており、政策目標として業務部門(事務所ビル、商業施設等)の建物について、2030年度までに、エネルギー起源CO2排出量を2013年度比で51%削減するといった政策目標が設定されています。

すでに主要デベロッパーやゼネコンを中心に、新築ビルにおいては環境負荷軽減・省エネ性能を重視したサステナブルオフィスビルの開発・供給が進み、また新築・既存ビルにおいて、オーナー主導でビルの使用電力を再生可能エネルギー由来電力への切り替えを行う動きや、テナント単位で再生可能エネルギーを調達できるプランの提供、照明・空調設備の省エネ化などが進んでいます。

持続可能な社会に向けて、オフィスビルの借り手(テナント)側にも、脱炭素社会を見据えた選択が求められる流れになりそうです。オフィス選定において、注目すべきポイントや、不動産・オフィスに関わる各種の環境認証などをご紹介します。

1.建物の環境評価の枠組み、環境評価認証の種類

ZEB(Net Zero Energy Building、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
ZEB(ゼブ)
とは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。2030年までに新築建築物の平均で「ZEB」を実現するという政策目標の実現に向けた補助制度の活用も進んでおり、賃貸オフィスビル・商業ビルにおいて注目すべき環境指標となっています。

画像:環境省 ZEB PORTALより

~4段階のZEB~

ZEBNearly ZEBZEB ReadyZEB Oriented

省エネ+創エネ0%以下まで削減

年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物

省エネ+創エネ25%以下まで削減

ZEBに限りなく近い建築物として、ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近付けた建築物。

省エネ50%以下まで削減

ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物

延べ面積が10,000m2以上の建物で、省エネ+さらなる省エネ

ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化および高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物

政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする=「カーボンニュートラル(炭素中立)」を目指すことを宣言しており、建築物のZEBの実現が重要になっています。

~環境認証・評価制度の例~

エネルギー性能の優れたビルについての認証・評価制度の一例として、下記があげられます。

種類BELS(ZEB含む)認証CASBEEDBJ Green BuildingLEEDWELL
所管機関国土交通省(一社)日本サステナブル建築協会(一財)、建築環境・省エネルギー機構日本政策投資銀行開発・管理:USGBC(U.S.Green Building Council)
認証:GBCI(Green Business Certification Inc.)
運営:IWBI(International WELL Building Institute)
認証:GBCI(Green Business Certification Inc.)
説明文BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)に基づき、新築・既存を問わず建物のエネルギー性能が5段階で評価される仕組み。BELSの評価制度の枠組みにおいて、「ZEB」等の4段階評価がある。建築物や街区、都市などに係わる環境性能を総合的に評価する仕組みであり、エネルギー性能に限らず、資源循環、地域環境、室内環境なども評価対象。一部の自治体では届出制度として活用されている。環境・社会への配慮がなされた不動産とその不動産を所有・運営する事業者を支援する取り組みとして2011年に創設された認証制度。不動産のサステナビリティをESGに基づく5つの視点から評価する仕組み。LEED(Leadership Energy & Environmental Design)は、建築物の総合的な環境性能を評価する米国発の国際的なシステムであり、Certified、Silver、Gold、Platinumの4段階で格付けされる。WELL認証(WELL Building Standard)は、利用者の健康やウェルネス、快適性に焦点を当てた米国発の建築・空間評価システム。最新版の「WELL v2」では10のコンセプト(空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ)から評価される。

エネルギー性能に特化して評価するBELS、総合的な環境性能を評価するCASBEEDBJ Green BuildingLEED、快適性や健康等に焦点を当てて評価するWELL、その他にも様々な認証制度があります。

2.環境性能が認められたビルに入居するメリットとは?

テナントにとってはZEBや環境評価認証を取得している建物に入居していることが企業評価につながる対外的にアピールできる等のメリットが挙げられます。企業が難しい手続き等を経ずに環境への取り組みを主張できるのは、賃貸オフィスビルならではメリットではないでしょうか。

3.環境性能の高いオフィスビルの事例(東京都内)

関電不動産八重洲ビル(東京都中央区京橋1丁目11-2|2022年5月竣工|地上13階・地下1階)

Low-E複層ガラスの採用や高断熱化に加え、冷暖房効率の高い個別空調や外気処理システム、センサーによる空調・照明の自動制御の採用など、様々な環境配慮技術を採用。「BELS」認証の最高ランク(☆5)および、国内中規模マルチテナントビルの2例目として「ZEB Ready」認証を取得。ビルの消費全電力に再生可能エネルギー由来の環境価値を付加した独自の環境価値プランを導入。ビル全体の消費エネルギーに関してゼロカーボンを実現。

T-LITE(トライト)(東京都港区虎ノ門2丁目9-1|2022年3月竣工|地上17階・地下2階)

外気冷房や全熱交換器の採用、Low-E複層ガラスの採用、二枚のガラスの間に室内空気を取り入れブラインドを内蔵したエアーフローウィンドウシステム、雑排水や雨水の活用など、環境への様々な配慮を施した仕様・設備が特徴。印象的な壁面緑化や屋上緑化はヒートアイランド対策として機能。
「CASBEE」最高評価Sランクを取得、LEED GOLDを取得見込み。

TODA BUILDING(東京都中央区京橋1丁目7-1|2024年9月竣工(予定)|地上28階・地下3階)

次世代エネルギーとして注目される水素を活用した発電・蓄電、太陽光パネルによる日中発電、潜顕分離空調システム、排熱利用、屋上緑化など、創エネ+省エネ機能が各所に設計されている。「BELS」認証最高ランク(☆5)および「ZEB Ready」認証を取得。なお、超高層用複合用途ビルにおける建物全体での「ZEB Ready」認証取得はTODA BUILDINGが日本初となる。CASBEE Sランク、LEED GOLDも取得予定。

4.都内の環境配慮型オフィスビル(空室あり)

環境性能認証を取得済みである、ビルの使用電力を再生可能エネルギー由来電力に切り替えているなど、環境に配慮した取り組みを積極的に行っているオフィスビルにつきましては【 こちら 】から検索できます。

※現在継続して調査を行っております。また、詳細の仕様についてはお尋ね下さい。

5.カーボンニュートラルへ貢献する、リーディングテナントへ!

ビルの開発者・運用者が自らZEBを実現する事例が増える一方、テナントビルの脱炭素化は途上で、また、テナント側がそのようなビルを積極的に選択する流れはまだ少ないのが現実です。
そのような事実を踏まえ、環境省は、テナントビルへ入居するテナント側が起点となりCO2削減へ貢献していく「リーディングテナント行動方針」を打ち出しています。

環境省は賛同テナントを対象に活動を支援する施策(インセンティブ施策)を実施予定(※)とのことで、社会的評価向上・投資促進などの波及効果に向けたしくみ作りが進んでいく見込みです。すでに説明会が実施されており、セミナー資料も公開されています。
※「リーディングテナント行動方針」セミナー資料(2022年3月3日)による

■参考サイト
環境省 ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)
https://www.env.go.jp/earth/zeb/index.html
環境省 温室効果ガス排出・吸収量等の算定と報告
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/emissions/index.html


まとめ

カーボンニュートラルへの取り組みで地球環境へ貢献したいSDGsやESGで日本をリードする企業を目指したいESG経営やESG投資などを投資家に伝えたいなど、サステナブルオフィスビルへの移転をご検討中の企業様につきましては、ぜひお気軽にお問合せ下さい!
お問合せは こちら から。

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